配置平面プラン、ファサード、イメージパース
「ひとねるホール」と「ひろねる広場」を中心とした、「教育」と「交流」が特徴的な園づくり
蒲郡市公共施設マネジメント実施計画に基づく大塚地区個別計画のコンセプトである「子育て機能を充実させ、”教育”と”交流”の
拠点をつくる。」をまさにこの大塚保育園にて具現化することで蒲郡市大塚地区の発展につながると考えました。
具体的には「ひとねるホール」と「ひとねる広場」というスペースを設けることで「教育」と「交流」を活性化させるスペースを建物
の中央に設けました。ちなみに、「ひとねる」とは三河地方の方言で「育つ・育てる」という意味になります。
屋内スペースである「ひとねるホール」と屋外広場である「ひとねる広場」を近隣の方々や敷地北側の老人施設の方々や、周辺地域の
子育て世代の方々に開放するという使い勝手が出来るようになります。そういった外部に開けたスペースを設けることで、これまでは
比較的閉鎖的であった教育の文化に対して、交流という新しい要素が加わることで、大塚地区や周辺地域住民の全体にて子育てに関わ
るという新たな取り組みが可能になると考えました。周辺地域のイベントや自治体との連携によって、園児が限定された教育による学
びを超越し、様々な年齢の方や多様化された物事に触れることで人間としての幅広い経験を積み重ねていってほしいと考えました。
■「ひとねるホール」により五感を知覚させ、こどもの生まれ持った感性を拡張させる。
まさに建物のど真ん中に屋外スペースである「ひとねる広場」を設けることで、日常的に外部環境や自然を感じる機会が増えることになります。
それにより、こどもが自分の五感をフルに刺激する機会が圧倒的に増え、こどもが本来生まれながらに持っている無限の感性を最大限拡張させることが出来ると考えています。あくまで保育園としての「こどもの成長」にフォーカスし、蒲郡市大塚地区の自然豊かな立地環境をフルに活かしながら教育に活かしていくという観点で設けました。
大塚地区の地域性を園児が感じるとともに、 三河木綿を園内・園外にPRする
三河地区を代表する特産品である「三河木綿」を大塚保育園に積極的に採用することで、こどもや保護者や園関係者にも改めて毎日の日常の中で三河木綿を感じてもらい、地元の特産品を再認識することで、生まれ育つ地域への愛着を持ってもらえると考えました。また、保育園に訪れる外部の方々にも三河木綿を再認識してもらえる良い機会になりますし、改めて三河木綿のPRを園外に発信していく場となり、大塚保育園から地域性の特徴を多くの方に再認識してほしいと願っています。
■三河木綿による「フレキシブルな空間」
三河木綿は生地が厚手で丈夫という特徴があります。その特徴をまさにそのまま活かすべく、一部の保育室の間仕切りとして採用しました。
これにより、従来の壁と建具による間仕切りだけでなく、様々な用途や状況によって、間仕切りを可変できるようにしました。
さらに、間仕切りをフレキシブルな三河木綿にしたことにより、保育室内と室外との区切りが曖昧になり、異年齢のこどもとの交流や、園に訪れる来客者との交流が発生しやすくなります。開放的に使用したい状況の時は三河木綿を開け、閉鎖的に使用したい状況の時は三河木綿を閉じることで様々なシチュエーションに対応することが可能となります。
また、三河木綿による間仕切りは女性の先生でもすぐに動かすことが出来るため、臨機応変に間仕切りを動かし、自然通風を取り入れたり、視線を保護したり出来るようになります。
大塚地区の立地条件に適した未来へとつながる環境配慮システム
保育室は外壁面から内側にセットバックしたレイアウトを採用したため、夏の強い日射の浸入を防ぐことが出来ます。
また冬期においては温暖な日射熱を室内に効率良く取り込み、陽だまりによるサンルーム効果によって暖かい室内環境が広がります。
建物中央に設けた屋外スペースによって、室内に自然通風を呼び込むことが可能となります。
園舎全体の高断熱化や太陽熱利用により、厨房や沐浴室のの給湯設備は、太陽熱集熱器+貯湯ユニットを設けることでガス消費量を削減します。
太陽光発電パネルと蓄電池の設置により日中の主に空調用電力を抑制し、省エネ性能を高めています。
また雨水経路をコントロールして、地下の貯水槽に常時溜めることで災害時の雨水利用を可能としています。さらに周辺の生態系との調和を目指すために植栽やビオトープを建物内の屋外スペースに配置しています。
日常の中で、様々な遊びと 学びができる「こどものス ケールに合った場所」
園内の室を円形でレイアウトしたため、円と円が交差する部分に小さな空間が生まれます。その小さな空間を、こどもたちが自由に遊べる空間としてデザインすることで、日常の中で遊びながら、かつ心身ともに成長できればと考え、遊びと学びのスペースを設けました。
様々な交流の場を展開する「地域が一体となって教育する」新しい園舎づくり
■「ひとねるホール」により外部との交流が増加
周辺地域の方々や関係する諸団体の方々が気軽に利用できる「ひとねるホール」を園全体の中央にレイアウトしました。
また、「ひとねるホール」をぐるっと囲うように保育室や様々な部屋を回りに配置しました。
それにより、「ひとねるホール」に訪れる多くの方々と園児との交流が自然と発生します。
大塚保育園の先生や職員の方以外の方でも園児と交流する機会が増えることで、地域全体が一体となって子育てや教育に積極的に参加するようになることを意図しています。
■外部に園児の活躍と成長をお披露目する場の創設
大塚保育園の園児の成長や、発表会時の活躍を保護者やご家族以外の方にも積極的に見ていただき、こどもたちが日々著しく成長したり、何か新しいことにチャレンジした成果を実際に「ひとねるホール」のステージでお披露目することで、これまでは無かった周辺地域との交流がより一層確かなものになると考えました。天候によっては、隣接する「ひとねる広場」との連携により、教育の幅が広がります。
本物の素材で園舎をつくる
建物の材料には、自然素材を選択しアレルギーやシックハウス症候群の原因を防止します。
日常的にこどもたちが直接触れることを想定し、衛生上安心で安全な自然素材を採用します。
具体的には無垢の木材や、三河木綿い草による畳や漆喰の壁などです。
食育に自然と興味がもてるガラス張りのキッチン
未来の学びを支えるDX対応保育園へ
情報化社会に対応するため、全館無線LANと壁内や天井裏への将来用配管を予定し、情報通信技術(ICT)を最大限に活用した保育園を目指します。教育アプリやオンラインツールを活用し、保護者とのコミュニケーションや園児の成長や日常の様子をオンライン上で見ることが容易になり、保育の質の向上に役立ちます。また防犯カメラのネットワーク化にもすぐに対応でき、保育園の防犯対策が強化されます。未来の技術進歩に合わせたアップデートも可能となり、常に最新のIT環境に更新出来る未来を見据えた保育園づくりの基盤となります。